2009年07月22日

トムラウシ山遭難について思う

マスコミでも広く報道されていますが
先週の7月16日、大雪山・十勝連邦で3件の遭難事件があり
なかでもトムラウシ山ではツアー登山の8人が亡くなる事態となりました

今回亡くなられた10名のご冥福をお祈りします

大雪山のおひざ元の東川町に住んでいて
大学時代はワンゲルとして、大雪山に多く登ってきた者としては大変心が痛みます

中でもトムラウシ山は大雪山の最高峰旭岳に比べ地味なイメージもありますが
その独特の山容、そして山深さ、表・裏大雪と十勝を一望できる山頂と
まさに大雪山の象徴として、大好きな山でもあります

今回の事件に対し、マスコミ・ネットなどで様々な議論がなされていますが
自分なりにこの事件を考えてみましたまず、ツアー会社に捜索が入ったことによって、事件としてはツアー会社の責任として落ち着いていく様子です

一方で、ネットなどでは「登山は自己責任」として参加者に非があるものとする意見が多いようです

もちろん一方的な非はなく、双方問題があると思います

ざっと問題点をまとめると
@ 余裕のない日程、予備日がないことによる強行下山
A @によるガイドの判断ミス
B 最初の脱落者が出た後の引き返し判断のミス
C その後、パティーがばらばらになり、ツアー登山の体をなさなかったこと
D 夏山登山という安易な考えによる軽装備

などが報道されています
@〜Cに関してはツアー会社およびガイドの責任が大きいでしょう

そもそもツアー登山というものは、個人では登れない山にお金を払ってガイドに連れて行ってもらうというもののはずです

その時点でお金を受け取ったからにはツアー会社には登山を安全に終了させる責任があるはずです

それが今回はガイド3人のうち2人が大雪山縦走経験なし(その時点でその2人はガイドではなくポーターであるのでは?)
3人のガイドで15人の参加者は多すぎます
(自分の現役時代は2人のリーダーとサブリーダーでだいたい4人の下級生でした)

さらにツアー会社は参加者の装備不備についての責任逃れともとれる発言をしています

ここまで、直接的な責任はツアー会社が大部分を占めていると思われます
それは間違いありません


しかし、問題はもっと根本的なところにあると思います
今回と同じスタンスのツアー会社はほかにも多くあるはずです

そもそも、ツアー登山に参加する参加者はどれほど登山を深刻に考えているのでしょうか?

北海道の山では山小屋はあくまで避難小屋で、本州の小屋のような快適性はまったくありません
その他、北海道の山の特殊性や夏山登山にも潜む危険性を認識していたのでしょうか?

登山に必要な最低限の技術はあったのでしょうか?
・ 地図とコンパスで自分の現在地がわかりますか?
・ 携帯のつながらないところで、ラジオを聞いて天気図を書けますか?
・ 医療の最低限の知識がありますか?低体温症を説明できますか?

残念ながら、生存者のインタビューからは山に対する真摯な姿勢は感じ取れませんでした

大学の部活である程度しっかり登山をしてきた人間としてはそこを疑問に思います

ツアー登山を否定するつもりはありません

それを否定したら、そもそも初心者はだれかに連れて行ってもらえなければ山には行けませんしね…

ただ、お金を払って連れて行ってもらうということで、自己の技術・知識を磨く向上心を失っているのではないでしょうか?

登山履歴の回数は決して登山技術・知識には比例しません

常に自分の実力を冷静に判断し、自己を向上させる気持ちが必要なはずです

本来ならお金を払ってツアー登山に参加するよりも、地元の山岳会などに加入して、上級者とパーティーを組んで行くのが本道なのです

それがお金を払う=登山をただの旅行と同じ感覚にしてしまってるのかもしれません

ガイドを雇うことはむしろ、その山域や植物、歴史などを知る機会になるべきなのではないでしょうか?

ガイドはただのポーターとしではなく、その山域のプロとしてお客によりよい登山を提供する必要があります

北海道にも山岳ガイド認定制度がありますが、最近は資格取得者が減少して、制度が形骸化しているようです

今後は国などの行政が、ガイド制度などについてしっかりと国家資格(経験、知識、実技など)としてポーターではない真のガイドを作っていく必要があります

登山者も自分自身で登れる実力、または山岳会などでしっかりした上級者とパーティーを組む機会を持ったうえで
よりその山域を知り、楽しむ目的でガイドを雇ってもらいたいと思います


このまま登山がランニングなどの安易なブーム(もちろんランニングも危険はありますが、登山とは次元が違います)と同列なものではなく
登山文化として日本に根付いていくことを願います


また、この自分の意見を読んで気分を害する被害者の家族の方やその他の方がいるかもしれません

そうであったなら申し訳ありません

ただ、自分としては被害者を責めるつもりはなく
大雪山、そして山を好むものとして、今後このような事件がないことを祈って書いたものですので、ご容赦ねがいます
posted by cows at 22:05| ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | にっき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
お久しぶり。
いい感じでパパしておりますねー。
東川の居酒屋も、いってみたいなー。豆腐も食べたいし。


>残念ながら、生存者のインタビューからは山に対する真摯な姿勢は感じ取れませんでした。

ここが一番、一般の人に認識されにくいところな気がする。今の報道とかの流れは、
確実に、お金とって、連れて行ってるんだからガイドが責任者なんでしょ?的になっているしね。

ガイド という仕事、単語の意味
その責任の範疇とか、いろいろおざなりになりながらはやり始めていた、中高年の登山ブームについての疑問が、
色々あからさまになったのだと思う。

ぜひ、岳人とか、一部の人しかよまない雑誌じゃなく、ニュースレベルでも、こういう問題に関する特集を組んでほしいとおもう。

だって、きっと危険なのは、
そんな本なんか読まずに、山に行く
ガイドにたよる中高年登山者予備軍だとおもうからさ。

セクオのがうまくまとまっていたので、
妙に感心して読ませていただきやした。

そのうちいっぱいやりに行くね。
Posted by ago at 2009年07月30日 17:25
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